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日記のネタがないので…

2013.11.11 00:30|文章
埋もれてた文章の塊をちょっぴり発掘しました。

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視界いっぱいに広がる、雄大な森。その中に彼らの家はあった。
森の中と言えど、小屋などという規模ではない。確かに家自体は小さかった。敷地に比べれば。
実際は家屋もそれなりの大きさである。だが、城さえも丸々と入るような庭があれば必然的に小さく見えるだろう。家の窓からでは、とても全体を見渡せない。
有翼の白猫は目線を外し、住人達を見渡した。金の長髪の少年は慌ただしく走り回り、同じ金色で短髪の青年は銀髪の少女と何かの作業をしていたし、赤髪の少年は黙って食事を用意する。傍らでは薄紅色の鳥が、愚痴をこぼしながらも仕事を手伝っていた。
彼ら一同が揃うことは少ない。本来は住人でない者も混じっているが、それを除外してもだ。
けれども、彼らの帰る場所は一つだけ。時がすれ違うだけで、皆ここに帰って来る。白猫だろうと相違なく、この家こそが心の住居だった。

さて、その家の外には大勢の客が待っている。珍しく一同全員が集まっている理由がそれだ。客たちを集めるためには、広大過ぎるほどの庭が望ましかった。
やがて住人たちが客の前へと姿を現した。限りなく思える下ごしらえに明け暮れていた者たちの英姿だ。
「さあ、この場に居る者どもよ。心からの乾杯だ」
何故か、つい最近来たばかりの新参者である鳥がこの場を仕切った。
しかし今は仕切りが誰だろうと関係ない。住人も、客も、誰もが待ってましたとばかりに歓嬉の声を解き放つ。
「かんぱーいっ!!」
たった今、その名も『数百年に一度あるか無いかの里中が無礼講となる始祖竜の里パーティ』が始まった。


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食卓には、非常に香ばしいにおいのするカレーライス。
見た目の上ではまったく問題の無さそうな食事だが、ミカノは不安を湛えた様子で見つめるばかりだった。
原因は作り手にある。父の友人である彼は、一人旅の暦が長いこともあってか料理上手だ。その腕前は、そこらの食事処よりもよほど美味い。
しかしその人物たる者、壮絶なる辛党である。それに加えてカレーだ。あの辛いものの代表、王者とも言うべき有名どころだ。
人が食せば昏倒するという噂がある辛さの味付けを、無事に食せる自信はない。心なしか食器の持つ手を震わすミカノ。
食うべきか、食わざるべきか……やっぱり食わないに一理か? 食事で昏倒なぞ一生の恥だ。否、食さず逃げる方が恥じゃないか? 大体マズイものを食わされるよりマシだろう、でも……
散々悩んだ挙句、ついに彼は決心した。
やるべき事は一つ。ルーによる被害が少ない境目の部分を……獲物を確実に仕留める!
ミカノは猛獣のような目つきで獲物を狩った。果たして、量で質に勝てと言う戦略は成功したのか?
しかし、現実はそう甘くないもの。
彼は舌を走る激痛に耐えきれず、椅子から転げ落ちたのだった。
「弟くんは美味言うとったのになぁ」
「味覚がブッ飛んでるにも程があるわっ!」


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水に溶ける。貴方はそう聞いて、何だと思いましたか?
栄養? 確かに、ある種の水は栄養があって身体にいいですね。
有害物質? ええ、間違って飲んだら大変でしょう。お気の毒に。
水は元来まっさらで、純粋なものです。
毒にもなれば、薬にもなる。何にでも染まってしまうものなのです。
そこに人が溶けたらどうでしょう。
毒か、薬か? それは溶けた人によりますよ。
自分の場合は……そうですね、中性とでも言っておきましょう。
ほら、自分って毒にも薬にもならない人種ですから。


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ゆっくりと、規則正しい音が近づいてきた。
標的発見。直ちに戦備せよ。
落ち着いた声色が聞こえたと同時、対象に力を込める。
少しずつ力を送り込むと、手先に痺れたような感触が現れ始めた。
――準備完了、完璧だ。
彼は素早く身を翻して物陰に隠れた。図らずとも笑みが浮かぶ。
程なくして、大きくなった音は不意に止まった。全員の視線もそちらに集まる。
標的は対象に手を触れ、そして――
例えるなら泡が弾けるような。しかしそれとは比較にもならぬ程の雷撃が弾け飛んだ。
光と音が駆け抜けたのち、残ったのは黒い塊。
爆発した髪の毛の隙間からかろうじて見える目のみをぱちぱちと瞬かせている。
その場には爆笑と嘲笑と哀れみと呆れた視線が絡み合った。

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